アカエイは、トビエイ目アカエイ科に属するエイで、尻尾の付け根のトゲに『毒』を持っている危険な魚です。
アカエイは日本を含む東アジアの沿岸域に広く分布しています。
アカエイは暖海性のエイなので本州中部以南に特に多く、浜名湖にも多くのアカエイが生息しています。
目次
アカエイの特徴
アカエイの体は平たく、尖った吻を持っています。
背面は赤褐色から灰褐色です。外敵から身を守るための擬態効果で背面の色は海底と同系色に変化します。腹面は白く、尾や鰭などの辺縁部が黄色になります。尾はムチ状で強大な毒棘があり、刺されると大変に危険です。ウロコはなく、体表はヌメヌメした粘膜質で覆われています。繁殖力は非常に強いようです。
大きさ
尾の先端までの全長は約1m。
中には全長2メートルに達する個体も存在するようです。
雌の方が大型になります。
棲んでいる場所
生息域は広く、日本を含む東アジアの沿岸域の水深700mまでの砂泥底に棲んでいます。
食性
肉食性で、貝類、頭足類、多毛類、甲殻類、魚類など底生生物を幅広く捕食します。貪欲で海底の貝類や甲殻類などを手当たり次第に食べ、弱った魚類も捕食したりします。
獲物を発見すると平たい体で獲物に覆い被さってから丈夫な歯でかみ砕いてゆっくりと食べます。
寿命
10~15年ほど生きると考えられています。
アカエイに遭遇しやすい場所
アカエイは浅海の砂地や泥地を好むので、底が砂質・泥質の浜名湖にはどこにでも出没します。
人が遭遇する危険があるのは、海水浴場や潮干狩り場、ウェーディングポイントです。
管理人は浜名湖の海水浴場で小さなアカエイが泳いでいるのを何回か目撃しましたし、浜名湖のウェーディングでエイに刺されたという方のブログもネットで検索すると見ることができます。
ウェーデイングとは海・河川、湖・池・沼、渓流で水に浸かりながら釣りをすることです。川の中を歩く・水の中で遊ぶというニュアンスの英語【wade】が語源となっています。
浜名湖ではウェーデイングでシーバス・キビレを狙う人が多いです。
また、アカエイは砂浜に打ち上げられていたり、釣り場に捨てられていたりすることがあります。アカエイ本体が死んでも毒は消えないので、毒棘の部分をウッカリ踏んだり、小さい子供が興味本位で触ってしまったりしないよう注意が必要です。
アカエイ動画
釣りをしていてもアカエイが釣れる時があります。私が釣りをしていて遭遇したアカエイの動画です。
アカエイ被害の予防方法
エイは臆病な魚なので、自ら攻撃を仕掛けてくることはまずありません。
アカエイに刺されるケースのほとんどは、底にジッとしているアカエイを足でうっかり踏んでしまったことが原因です。
いきなり踏まれるとアカエイはビックリして人間を刺してしまうようです。
つまりエイを足で踏まなければ、エイに刺される心配はありません。
すり足で歩く
それは、水中を歩く時にはすり足で歩きましょう。
すり足にする事で、こちらの存在をエイに知らせることができます。
アカエイは臆病な魚なので、人間の存在に気付いたらさっさと逃げていくそうです。
杖を突いて歩く
水中を歩く時は、進行方向に杖を突きながら歩いていけば、臆病なアカエイは逃げていきます。杖を突いて歩くことでアカエイに刺される可能性は格段に減ると思われます。
また底を杖で突きながら釣りをすれば、アカエイが近づいてくることはないでしょう。
アカエイ対策として『ウェーディングスタッフ』または『ウェーディング ステッキ』と呼ばれる杖が販売されています。
エイガードを装着
ウェーデングを安心して楽しむ人用に、身に付けるタイプのアカエイ対策グッズも売られています。いわゆる『エイガード』と呼ばれているものです。基本的にエイガードは外付けタイプとソックスタイプに分かれます。ちなみにお値段は
外付けタイプ…比較的安い(1万円~)
ソックスタイプ…バカ高い(3万円以上)
です。
アカエイに刺された時はどんな症状?
アカエイの毒トゲに刺されると激痛を感じます。
『ハンマーの尖った部分の先で叩かれたような痛み』『ドリルの先をブスっと突きさされたような痛み』だそうです。
刺されて10分くらいすると刺すような痛みに変わり、細胞が破壊され壊死を起こし始めます。
刺された部分は赤紫色に腫れあがり、血圧低下・下痢・発熱などの全身症状が起こることもあるようです。
またアカエイが怖いのは毒だけではありません、トゲ自体も凶器です。
アカエイのトゲはノコギリ状になっていて、「返し」があるので、一度刺さってしまうとなかなか抜くことができません。このトゲに刺されると刺し傷ではなく、切り裂かれたような傷になるといいます。
アカエイの毒の成分
日本では、魚のトゲに含まれる毒素についての研究があまり盛んではありません。
そのため、アカエイの毒の成分は、残念ながら未だに明らかになっていませんが、今までに研究された魚の毒と同じような成分『タンパク質』であろうと考えられています。
タンパク質性の毒素は熱で急速に分解するので、アカエイに刺された場合の一般的な対処法として「熱い湯につける」という方法がよく知られています。
アカエイに刺された時の応急処置
1.毒針を取り除く
刺さった毒針をペンチやピンセットで抜き取ります。
体内に針が残った場合、折れても毒を出し続けますので、毒針は、可能な限り取り除くようにしてください。
2.患部を洗浄する
患部をきれいな水または湯で洗浄します。
3.毒を絞り出す
毒が体に回らないように、刺された部位から毒液を絞り出します。
指でつねってギュウギュウと絞り出します。
ポイズンリムーバーを持っていれば、ポイズンリムーバーで毒を吸い出してください。
ポイズンリムーバーとは毒の吸引器のことで、ハチやヘビなどの毒のある生き物に刺された時に、傷口にあてて、安全に毒を身体から吸い出すための道具
です。エイに刺された場合にも効果的ですので、海に行く時はポイズンリムーバーを携帯しておくと安心です。
4.患部を熱い湯(45℃以下)に浸ける
アカエイの毒であるタンパク質性の毒素は、熱で急速に分解するので、火傷しない程度に熱いお湯(45℃以下)に30~90分浸けると痛みが和らぐようです。
5.あくまでも応急処置
以上の事を完璧に行えば、痛みは和らぐようですが、あくまでも応急処置です。
痛みがひいた後でも、腫れや痒みが出たりする可能性があるので必ず医療機関で診てもらうようにしましょう。
アカエイに刺された時の医療機関について
何科にかかればいいの?
ハチなどの昆虫に刺された時には、皮膚科に行きますよね。
アカエイに刺された場合も、皮膚科に行く人が多いようです。
事前に医療機関に連絡して「アカエイに刺されたけれど診てもらえるか」を確認した方が良いでしょう。
浜名湖でアカエイに刺されたときには?
浜名湖でアカエイに刺されて、すぐに医療機関にかかりたい場合は医療ネットしずおかというサイトが便利です。近隣の『今診てもらえる医療機関』や『休日・夜間の当番医』を検索できます。
浜名湖は浜松市と湖西市に隣接していますので、静岡県西部地域を選択して浜名湖近隣の医療機関を探してみてください。
どんな処置をしてもらえるの?
アカエイに刺された場合、医療機関でどのような処置をしてもらえるのかを調べてみました。
●トゲが残っている場合は除去
●熱い湯(45℃以下)に30~90分浸す。(鎮痛効果のため硫酸マグネシウムを加える場合あり)
●破傷風・感染症の予防
●薬などによる鎮痛
以上の様な治療をしてもらえるようです。
アカエイの毒によるアナフィラキシーショック
外部からアレルゲンが体内に入ることで急激に引き起こされる全身性の強いアレルギー反応のためにショック状態になることをアナフィラキシーショックといいます。
血圧の低下や呼吸困難、意識障害など生命を脅かす危険な症状です。
食べ物やハチ毒や薬物が原因のアナフィラキシーショックはよく知られていますが、アカエイのアナフィラキシーショックはあまり知られていないようです。
アカエイについて調べていると、アレルギー体質の人はアカエイの毒でもアナフィラキシーショックが起こる可能性があるとの情報がありましたが、詳細についてはあまり情報がありませんでした。
ただし、アカエイに刺されて、血圧の低下や意識の混濁、倒れる、失禁するなどの「ショック症状」が見られた場合はアナフィラキシーショックの可能性があるので、救急車を呼ぶなどして、すぐに医療機関を受診しましょう。
食料としての利用
危険なアカエイですが、エイの中では最も美味とされ食の評価はとても高いです。
浜名湖では、アカエイを利用した商品や外食産業でアカエイメニューが研究され販売されています。
浜名湖のアカエイを利用した商品
浜名湖の魚を見ることができる『浜名湖学習体験施設ウォット』で浜名湖のアカエイを使った商品が売られていました。浜名湖のエイのひれの燻製と浜名湖のエイひれ軟骨揚げはんです。どちらも美味しそうです。パッケージも非常にかわいらしいです。